Web広告は手軽に集客できる方法として、多くの企業で利用されています。しかし、Web広告には様々な種類があり、得られる成果も異なるため、自社サイトに適した広告を選ぶことが重要です。
今回は、Web広告を利用する際にスムーズに選択できるように、それぞれの種類や特徴、強みなどを解説していきます。
Web広告とは?
Web広告とは、Web上のメディア(媒体)に掲載される広告全般を指します。
ウェブメディアには、広告スペースを持つウェブサイト、検索エンジンの結果ページ、電子メール、SNS、動画などがあります。
デジタル機器の進化と普及、通信環境の向上と相まって、インターネットは私たちの社会生活と切っても切り離せない存在となっています。Webメディアを通じてWeb広告を目にする機会も、日常的な光景になったと言われています。
Web広告の需要が高まっている背景
Web広告は急速にその市場規模を拡大しています。
電通が発表した調査レポート「2021年の日本の広告費」にあるように、「インターネット広告費」が「4媒体広告費(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ媒体広告)」を初めて上回ったことが多くの報道で伝えられています。
Web広告は、コロナ災害以降、広告全体が減少しているにもかかわらず、プラス成長を達成しました。これは、さまざまな経済活動がWebに移行し、従来の広告からWeb広告へのシフトが進んだためと考えられます。
また、ウェブ広告は、従来の広告の弱点であった「途中経過の変更が難しい」「メッセージの効果測定が難しい」「広告費が高い」「消費者行動に結びつきにくい」「希望する属性に届きにくい」などを克服することができます。
Web広告の大きな特徴として、以下の点が挙げられます。
"広告テキストやキーワード、デザインの変更が柔軟にできる" "シミュレーションや効果測定ができる" "低コストから始められる" "ユーザーの行動を促進できる" "ターゲットを絞って掲載・配信できる" などです。
また、広告配信の自動化・最適化が進み、短期間で成果を上げやすくなったことも、Web広告が急成長した要因の一つです。
これに加えてWeb広告を含め、Web上でマーケティングを行うオンラインマーケティング(Webマーケティング)が主流となったこともきっかけとなっています。
Web広告の種類と特徴
ウェブ広告には数多くの種類があり、それぞれに特徴があります。
広告したい商品やサービス、広告の目的によって、どのWeb広告手法が最適なのか?また、それらを管理するための知識も必要です。ここでは、Web広告の種類と出稿方法、課金方法について解説しています。
より多くのユーザーにリーチしたい場合
ここでは、多くのユーザーにリーチできる可能性が高いWeb広告の種類を紹介します。
それぞれ特徴があり、使い方次第では特定のユーザーにリーチできる可能性があります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、WebサイトやSNS、スマートフォンのアプリケーションなどに掲載される広告のことです。
パソコンやスマートフォンでコンテンツを閲覧していると、広告に動画が表示されることがよくあります。Yahoo!JAPANのトップページに表示される広告も同様です。年齢、性別、地域、過去のWebサイト閲覧履歴などによる詳細なターゲティングが可能です。
そのため、まだ商品やサービスに馴染みのない潜在的なユーザーへの認知に適しています。また、人目を引くような広告など、視覚的なアプローチも可能でしょう。
ディスプレイ広告のもう一つの特徴は、ユーザーが広告をクリックしたときだけ広告料が発生する「クリック課金型」の広告であることです。ただし、検索意欲の高い人をターゲットにしていないため、離脱されることが多いので注意が必要です。
SNS広告
SNS広告とは、Twitter、Facebook、Instagram、LINEなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上に掲載されるWeb広告のことです。SNSの急速な普及により、ユーザーの年齢層やライフスタイルが異なるため、SNSの特性を考慮した広告が高い効果を発揮することがあります。
性別や年齢だけでなく、学歴や趣味、フォロー状況など、細かいターゲティングができるのが特徴です。これらは、他のWeb広告では設定が難しいケースがほとんど。
例えば、ビジネスインフルエンサーに利用されているTwitterは、「ビジネスマーケティングに活用しやすい!」といったPR文を目にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、注意しなければならないのは、適切な運用を行わなければ、Twitterは特定のユーザーに対して情報を配信し続けるということです。
YouTube広告・動画広告
YouTube広告や動画広告とは、動画コンテンツを配信するWeb広告のことです。テキストや画像に比べ、伝えられる情報量が多いため、より高い効果が期待できます。
特に注目すべきはYouTube広告です。ユーザーの好みに合わせて広告を配信することができ、より高い効果が期待できます。ただし、ユーザーが途中で動画を飛ばしてしまい、最後まで見てくれない可能性を考慮することが重要です。そのため、広告全体をみてもらえない可能性があります。
また、Yahoo!JAPANのトップページやキュレーションサイトのバナー部分に掲載される「インバナー広告」。
動画広告には、SNSのタイムラインに表示される「インフィード広告」や、ユーザーがウェブサイトを閲覧中に表示・再生される「インリード広告」なども含まれます。
バナー広告
バナー広告とは、ウェブメディアの広告枠を購入して掲載する広告のことです。
媒体の設定や契約内容によっては、一定期間広告が継続されるため、商品やサービスを全く知らない関心の低いユーザーにもリーチすることが可能です。
一方、ヤフーなどの大手ウェブメディアは、広告枠の単価が高く、多くの経費を伴うことに注意が必要です。
アドネットワーク広告・DSP
アドネットワーク広告とは、多くのサイトが集約された広告配信ネットワークの一種です。
ネットワークを通じて、複数のWebサイトに一度に広告を配信できる手法です。これは、DSP(Demand-Side Platform)と呼ばれるツールで、たった一つのプラットフォームで管理することができます。
一括」広告配信を利用する最大のメリットは、作業効率の向上が図れることです。また、DSPは配信する広告のジャンルを絞り込むことができます。しかし、メディアの選択には限界があり、意図しないWebサイトに広告が配信されてしまうリスクもあります。
リワード広告
リワード広告とは、ユーザーが広告を閲覧することで報酬・対価を得る仕組みのこと。
具体的には、ユーザーはアプリケーション内で動画を見たり、アンケートに答えたりすることで、報酬として何らかのポイントを得ることができます。報酬はユーザーだけでなく、メディアにも支払われるため、"アフィリエイト "の一種といえます。
アプリのインストール数を手っ取り早く増やしたい」など、ブランディングや認知拡大、ユーザーの早期獲得に有効なのがWeb広告です。しかし、報酬を得ることが目的であるため、ユーザーの継続率は低くなりがちです。
ネイティブ広告
ネイティブ広告とは、Webサイト上で一見すると、広告ではなく記事や投稿のように見えるWeb広告のことです。
広告を自然に表示でき、潜在的なユーザーにアプローチしやすいため、ユーザーに迷惑やストレスを与えないWeb上の広告のことです。
しかし、記事だと思ってリンクをクリックしたら、広告だったという反感を買う危険性があります。また、設置するWebサイトになじむようなコピーやデザインを作る工夫や努力が必要です。
特定ユーザーにリーチしたい場合
以下のWeb広告は、全Web広告の中でより特定のユーザーにリーチできる広告です。
リスティング広告
リスティングとは、GoogleやYahooなどの検索エンジンの検索結果ページに表示されるテキストのことです。
ユーザーが検索したキーワードに関連する広告が表示されるため、当該商品やサービスに関心が高く、購入の可能性が高いユーザーを獲得しやすいという利点があります。
広告費は、ユーザーが広告をクリックしたときに発生する。また、表示されるだけで料金が発生しないのもメリットです。
一方、競争率の高い検索キーワードを指定すると、クリック単価が高くなり、表示回数が減少するため、キーワード選定は戦略的に行う必要があります。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告とは、アフィリエイターと呼ばれる発信者が、自分のウェブサイトやブログに商品やサービスのリンクを貼る広告のことです。
広告主が広告を経由してクリック、インプレッション、購入など所定の成果(コンバージョン)を得た場合に、サイト運営者に報酬が支払われます。
広告主、アフィリエイター、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)と呼ばれる広告仲介媒体の3者で構成されています。成果報酬型広告という言葉からもわかるように、成果が出たときだけ費用が発生する。
結果が出れば、費用対効果も高いと言えます。一方で、「成果が出るまで時間がかかる」「意図しないWebサイトに商品やサービスが掲載され、企業イメージが損なわれる」などのデメリットや難しさもあるようです。
記事広告
広告記事とは、Webサイト上の記事を通じて自社の製品やサービスを宣伝してもらう方法です。
タイアップ広告とも呼ばれ、広告主やメディアと協力して制作される広告。メディアの持つ信頼性やブランド力を活用し、より的確に商品やサービスを紹介してもらえます。
この方法の利点は、記事の読者からの信頼を得やすいことです。また、関心の低いユーザーと潜在的なユーザーの双方にアプローチすることが可能です。
その一方で、記事を作成するためには多大な労力が必要です。場合によっては、記事が公開されてから効果が出るまで時間がかかることもあります。また、記事の品質が担保され、内容に信憑性がなければ、期待する効果は得られないので注意が必要です。
すでに接点のあるユーザーにリーチしたい場合
これまで説明してきたWeb広告とは異なり、Web広告の中には、すでに接触しているユーザーに直接リーチできるものがあります。
それらを一つずつ解説していきます。
リターゲティング広告
リターゲティング広告とは、過去にWebサイトを訪問したことのあるユーザーに対して表示されるWeb広告のことです。この広告は、ユーザーの閲覧履歴をもとにターゲットを絞って表示されます。
ヤフーでは "リターゲティング "ですが、グーグルでは "リマーケティング "と呼ばれています。ユーザーがWebサイトを訪問するということは、そのユーザーがすでに商品やサービスに興味を持っている可能性が高く、コンバージョンに至る可能性が高いということです。
ただし、注意点としては、繰り返し表示される広告にユーザーが嫌悪感を抱く可能性があることです。また、行動を追跡されることで、監視されているような印象を与えることもあります。
メール広告
メール広告とは、電子メールに広告を掲載する方法です。
そのパターンとは、"メールマガジンのヘッダーやフッター部分に広告テキストやリンクを配置する"、"メール内のコンテンツを全て広告として含める "というものです。
会社と何らかの接点があるユーザーに配信されるため、一度会社の製品やサービスを利用したことがある、あるいは知っている人に向けてのアプローチが可能です。
もちろん、メールを開かなければ効果はありませんが、削除しない限り永遠に残るという利点があります。
まとめ
Web広告にはメリットとデメリットがあり、Web広告の目的を明確にし、掲載・配信の戦略を立てないと、「全く効果がない」場合もあります。
また、ランディングページ(LP)の作成など、「広告がクリックされた後」の対策も重要です。留意点を踏まえて、より効果的なWeb広告の運用を目指しましょう。